ロゴは商標登録しなくてもほんとに大丈夫?
「ロゴは商標登録しなくても大丈夫!」と、
デザイナーの方からときどき聞きます。
どのような根拠かを聞くと、
“ロゴは著作権で保護されるから”という理由。
そもそも著作権で保護されるためには
ロゴはほんとうに著作権で保護されるのか?
その前にまず著作権で保護されるための一般的な要件を考える必要があります。
その保護の要件では、
(1)類似性
(2)依拠性
(3)著作物性
が問われます。
(1)類似性とは似ていること。つまり、著作権によって似ている範囲まで排除できます。
(2)依拠性とはマネしていること。つまり、相手がマネしていなければ著作権で排除できません。
(3)著作物性とは、著作物であること、ざっくり言うと芸術的に創作されていること。そもそも著作物でなければ著作権によって保護されません。
(3)の著作物性については、著作権法上では「著作物」として定義とおり、
「著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」(著作権法第2条第1項第1号)としています。
ロゴは著作権で保護されるのか?
ロゴも著作権で保護されるためには、
前記の(1)類似性、(2)依拠性、(3)著作物性、
の要件を少なくとも満たす必要があります。
ロゴの場合、(3)の著作物性が問題になることが多いです。
つまり、ロゴが芸術的に創作されているか否かが問題になることがあります。
ロゴの著作物性が否定された最高裁判例
「Asahiロゴマーク事件」(最高裁判所平成10年6月25日判決、平成8年(オ)第1022号)は、ロゴの著作物性が否定された有名は事件です。
判決文では、「いわゆるデザイン書体も文字の字体を基礎として,これにデザインを施したものであるところ,文字は万人共有の文化的財産ともいうべきものであり,また,本来的には情報伝達という実用的機能を有するものであるから,文字の字体を基礎として含むデザイン書体の表現形態に著作権としての保護を与えるべき創作性を認めることは,一般的には困難であると考えられる」と判示した高裁判断(東京高等裁判所平成8年1月25日判決、平成6年(ネ)第1470号)を支持しています。
つまり、著作物の定義中の「思想又は感情を創作的に表現したもの」(著作権法第2条第1項第1号)に該当しないので、著作権では保護されないと判断しています。
また、「ゴナ書体事件」(最高裁平10(受)332号,平12年9月7日第1小法廷判決)でも、書体の著作物性が否定れています。
判決文では、「従来の印刷用書体に比して顕著な特徴を有するといった独創性を備えることが必要であり,かつ,それ自体が美術鑑賞の対象となり得る美的特性を備えていなければならないと解するのが相当である」とし、書体の著作物性を否定しています。
ロゴを商標登録して保護する
以上の判決からすると、ロゴを著作権で確実に保護できると言い切れないのが現状です。
しかし、せっく創ったロゴ、何かしらの権利主張できるものが欲しいです。
土地について所有権を主張できるように。
ここで出てくるのは、商標法における商標登録。
商標登録をしておくことで、みなさんが創ったロゴの権利(商標権)を主張できます。
これによって、商標登録することで、著作権と同様に、マネされるのを防止できます。
さらには、著作権法のほうに、芸術性、創作性は要求されません。
反面、商標登録といった登録行為が必要で、
さらに早い者勝ちの制度です。
よって、他人に商標登録されてしまうと使えなくなります。
たとえ、他人がみなさんのロゴをマネても原則、商標登録されてしまうため、
商標登録されるとみなさんはロゴを使えなくなってしまいます。
ぜひ商標登録してみなさんのロゴを守って下さい。