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ロゴマークを著作権で保護するには

 

みなさんの中には、ロゴマークを名刺やホームページ等に使っている方もいると思います。

たまに、ロゴマークは著作権で保護されているから、誰も真似できないんです、のようなことを聞きます。
また、ロゴマークは著作権で保護されているから、別途、商標登録しなくても大丈夫、のようなことも。

では、ロゴマークは著作権で保護されるかどうかは、保護される場合もあり、保護されない場合もあります。保護されるかは極めてグレーです。

ここで、ロゴマークが著作権で保護されるためには、少なくとも以下の条件1~4を満たさなければなりません。

1.ロゴマークが著作権法上の保護対象である必要があります。具体的には、ロゴマークが、著作物性の問題として、美術のような美的創作性がないと著作権によって保護されません。

 ここで、著作権法第1条(法目的の条項)は、次のように規定されています。
 「この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。」
 そして、著作件法第2条第1項第1号で「著作物」を定義しています。
 「一  著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」
 これら条文にあるように、著作権法は、文化の発展に寄与するものでなければならなく、そのために、著作権法上の保護対象となる著作物を、美術のような美的創作性を要求しています。様々な判例でこのような解釈がなされています(東京高裁 H8.1.25 平成6年(ネ)1470号事件)。

2.ロゴマークの著作権を保有している必要があります。例えば、ロゴマークを業者に依頼して制作してもらうと、原則、その業者に著作権が帰属します。このような場合、その制作者から著作権を譲渡してもらわなければなりません。

3.ロゴマークを業者に依頼して作成してもらった場合には、基本的には、そのロゴマークと同じものを使用する必要があります。これは、ロゴマークの制作者に著作者人格権(譲渡不可能な権利とされています)が残るため、その著作者人格権によって、制作したロゴマークを改変等せずに使用しなければなりません。

4.他人のロゴマークを盗用していない必要があります。すなわち、独自に創作したものが結果的に他人のロゴマークに似ていたのであれば盗用ではないので、保護されます(他人から著作権を侵害していると言われません)。

このように、ロゴマークが著作権で保護されるためには、多くの条件を満たす必要があります。

なお、ロゴマークを商標登録して商標権によって保護することも可能です。
商標法の場合、前述のような美的創作性はロゴマークに要求されません。また、業者に作成してもらったロゴマークをご自身で商標登録申請すれば、前述の2、3にあるような権利の問題も生じません。
また、あまりお奨めはしませんが、他人のロゴマーク(ただし商標登録がされていないもの)を見て、それを商標登録することも可能なため、前述の4にあるような問題も生じません。


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